土曜日の偲ぶ会。と日曜日の大会に参加してきました。最初に一報を聞いてから偲ぶ会に参列するまでどうしても実感がわかずに信じられない気持ちで一杯のまま札幌へ向かいましたが、200名を超える大勢の参列者を目の当たりにし、新井田さんの偉大さにあらためて気づくとともに、失ったものの大きさを痛切に感じました。正義感の強さ、そして北海道将棋界を愛するがゆえのストレスを抱えることも多くあったのではと思います。一見豪快な性格に見られがちですが酒席で2人になったときなどは後半になると「自分の行ってきたことは本当に正しかったのか、時々不安になることがある。それを検証するのは金澤君たちの世代だ。おかしいと思う事があれば遠慮せず言って欲しい」というような趣旨のことを言っていたのを思い出します。偲ぶ会が終わった後、夕刻より遠方より参加の美馬さん、遠藤さんらを囲んで生前新井田さんがよく行っていた居酒屋に顔を出しました。美馬さん、遠藤さん、宮野君(司会進行ご苦労様)、豊島君、金内君、鷹羽君、小野君、道内大学将棋部OB・・・、あとその日予定していた子供教室を休んでの参列は新井田さんも喜ばないだろうと教室を終えてから飛行機で駆けつけた清水上君などの新井田さんとの思い出は胸がじーんと来るものばかりでした。偲ぶ会を中心的に取り仕切っていた渡辺俊雄君は準備等色々大変だった筈なのに、そんなことはおくびにも出さずに淡々と「実感がいまだに湧きません」と挨拶していたのも印象的でした。
居酒屋で金内君に「明日の大会は優勝を狙う気持ちは全く無いが金内君とはこの機会に是非指しておきたいので、一緒に大会に出て対戦しよう」と言っておいたのだが、大会当日彼に「俺の隣のクジを引いてくれ。ちなみに7番だ」と言ったら、彼が本当に7番を引いたのに驚いた。と同時に「ひょっとしたら新井田さんもこのカードを見たいと思ってくれてるのかな」と思ったりしていました。最近ネット将棋ばかりで駒を持つのも久しぶりでしたが「この将棋に全力を尽くして勝っても負けても後は棄権しよう」と思って指し始めました。

振り駒の結果後手番に。当然の僕の三間飛車に金内君は居飛穴模様。序盤に端歩のけん制など細かい駆け引きがあり相手が5筋を突いてきたのでカナケンシステム(対▲57銀型)模様になる。図の▲55銀が彼曰く「これで良くなると思っていた」一手。従来の定跡本(東大将棋▽43銀)には▽55同銀と▽65銀、そして▽43銀の変化が書かれているがいずれも先手良しとなっている。当然僕もこの手は織り込み済みで、ここからが研究手順が通用するのかの勝負だ。
☆以下の指し手 ▽65銀 ▲44銀 ▽22角

この▽22角というのが研究の結果編み出した一手である。先の定跡本には▽51角が最善となっているがそれでは勝てない。この手の狙いは44の銀の只取りもしくは47への飛車の成り込みだ。例えばここで▲24歩と突くと▽42飛と回るのが好手で▲23歩成▽44角▲32と▽77角成▲同桂▽47飛成が変化の一例で後手優勢。なのでここは先手も辛抱することになる。当然相手は全国クラスの強豪なので簡単にはいかない。
☆以下の指し手 ▲55銀 ▽76銀 ▲88角 ▽34飛 ▲24歩 ▽同歩 ▲46銀 ▽88角成 ▲同銀 ▽69角 ▲22角 ▽33桂 ▲11角成 ▽47角成 ▲55銀

まず浮かぶのが▲26飛だが(▽42飛なら▲46飛で良し)、それには▽36歩と突く手がある。▲同歩なら▽42飛だし▲同飛には交換して▽76銀から飛車打ちを見せる。じっと▲55銀は最善手だろう。対して1歩を取り返してじっと▽34飛と浮いておく。ここでは指しやすさを感じていた。▲46銀は勝負手。負担になっている角を捌き馬を作ろうという狙いだ。手が進み▲55銀まで。ここでは駒得が先手の主張。後手は攻撃態勢を作っている+手番。ここではどう指すのが有力に思われるだろうか?
☆以下の指し手 ▽48歩!▲12馬?▽84飛 ▲59金 ▽49歩成!▲68金右 ▽59と ▲66銀 ▽69と ▲77金右 ▽同銀成 ▲同銀引 ▽57馬 ▲23馬 ▽25桂 ▲79歩 ▽44飛 ▲45香 ▽74飛▲33馬 ▽48歩 ▲43香成 ▽同金 ▲同馬 ▽75香 ▲66銀引 ▽77香成 ▲同銀 ▽44飛 ▲45香 ▽74飛 ▲43香成 ▽同金 ▲同馬 ▽75香 ▲66銀打 ▽77香成 ▲同銀 ▽68金 ▲同銀 ▽78飛成!にて後手優勢。
▽48歩が手筋の一着。▲同金なら▽69馬と入る手が先手になります。▲59金なら▽56馬▲58香▽67銀成と殺到します。単に▽56馬との違いがわかると思います。対して▲12馬はギリギリの利かし。しかし▽84飛との交換はこちらの得になりました。金内君は▲59金の次の手を軽視したようです。
▽49歩成と、さっき打ったばかりの歩を成り捨てるのが好手です。同金なら今度は飛車が84なので69馬が厳しくなります。なので▲68金右と辛抱しましたが▽59と。と、と金を自然に活用して優勢になりました。最後の▽78飛成でかっこよく決めたつもりだったのですが、その直後秒読みに慌てて逆噴射してしまい無念の逆転負けとなってしまいました。
対局終了後1Fの道場へ降りてみると、横山大樹君(現立命館大)と川崎直人君(現奨励会二段)が10秒将棋を指していて、さすがに両者鍛えが入っていて見ごたえがありました。川崎君に席を譲ってもらって横山君に挑戦してみると、面白いように序中盤の捌きが決まり優勢になるのですが10秒将棋ということもあり終盤で捲られ結局1-3。やはりオジサン世代には10秒は厳しいですw。函館行きの最終列車でへとへとになって帰ってきましたが色んな意味で意義のある2日間となりました。